【整数・軌跡・求積・確率】受験数学の難問対策におすすめの参考書・問題集まとめ
最難関大学を目指している理系の受験生で、数学がよっぽど得意な人でなければ、「こんな問題、どうやったら解けるようになるんだろう」と不安になる人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、受験数学で出題される「難問」を解けるようになるためにおすすめの参考書・問題集を分野別に紹介します。
大学受験数学の整数問題の対策方法とおすすめの参考書・問題集
整数問題は、高校数学で最も厄介な分野と言われています。
なぜなら、問題設定自体がシンプルであるため、高校で勉強する知識の範囲内でいくらでも難しい問題を作成することができるためです。
作問する教授の匙加減とも言えますが、東大・京大などの最難関大学の理系学部では、正答率が著しく低いような極端な難問が出題されることがあります。
しかし、知っていれば簡単に解けるような頻出パターンもしばしば出題されるので、テクニック的なものは身に着けておくべきでしょう。
具体的には、次のようなものがあります。
□ 素因数分解の利用
□ ユークリッドの互除法
□ 不定方程式
□ 合同式
□ 二項係数
特に、合同式については、京都大学では3を法とした合同式でアプローチすると解けるような出題を飽きることなく何回も出題していることが有名です。
逆に言えば、大学で勉強するにあたってそれくらいは解けてほしいという大学からのメッセージなのかもしれません。
尚、二項係数については、教科書などでは載っていないものの、知っていると大きく有利になるような式変形や準公式などが複数存在します。
以下のページで紹介されているので、是非チェックしてみてください。
□ 高校数学の美しい物語 – 二項係数の有名公式一覧と2つの証明方針
□ 「あ、いいね!」 – 【二項係数】nCrの重要公式まとめ【覚え方と導き方も解説します】
マスター・オブ・整数―大学への数学
言わずと知れた整数問題対策本の決定版です。整数問題領域における頻出パターンは本書でほぼ網羅されているといっても過言ではないです。
逆に、この本でカバーされていないような「発想力」が求められる超難問は、試験場では解ける人はほんの一握りなのであきらめても合否にはあまり響かないでしょう。
数学 整数 分野別標準問題精講
2016年に出版された整数問題専門の問題集です。以前は、整数問題は最難関大学で頻出の出題分野であるにも関わらず、対策できる書籍が上記「マスター・オブ・整数」くらいしかなかったものの、本書が出版されてからは少し対策もしやすくなったかもしれません。
整数問題の難問が出題される大学の過去問
一通り典型問題の解法を習得した後は、大学入試の過去問に取り組むのがおすすめです。
もし自分の志望校の過去問には手を付けたくない(時間を計って解きたい)場合や、既に解き終えてしまった場合には、他大学の過去問を解いてみるのもおすすめです。
一橋大学
一橋大学の大学入試は整数問題の出題が多いことが特徴です。
文系の出題範囲で大問を5題も出題しなければならないのであれば、一題くらいは整数問題を出さなければならないといった事情もあるのかもしれません。
過去5年間の出題内容は次のようになっています。
□ 2022年度: 不定方程式に指数を持ち込んだ融合問題
□ 2021年度: 素数の個数に関する証明問題
□ 2020年度: 大きな整数(n乗数)の剰余に関する問題
□ 2019年度: 漸化式との融合問題
□ 2018年度: 整数の各位の和に関する問題
大学受験数学の軌跡・領域問題の対策方法とおすすめの参考書・問題集
□ 曲線の通過範囲
□ 点が動く範囲
x + y = s
xy = t
とおいて、点(s,t)の満たす関係式を導く。
といった定石で解ける問題が多い傾向にあります。このケースでは暗黙の了解的に判別式Dを使用する必要があることが多いので、不安な人は典型パターンだけ今すぐおさらいしておきましょう。
大学受験数学の求積問題の対策方法とおすすめの参考書・問題集
理系の受験生にとって、試験時間中に最も神経をすり減らす問題は求積問題ではないでしょうか?
例えば、数学的帰納法などで解けるようなオーソドックスな証明問題であれば、答案を作成し終わった段階で、なんとなく手ごたえは感じるはずです。
しかし、求積問題の場合には、まず問題の概要を把握するために与えられた問題設定を図解してみるところから始まり、仮に方針を立てることができてもその計算量が著しく多かったり、計算ミスに気が付かないで解き続けていると「答え」までたどり着けたとしてもほとんど点数が入らなかったりする場合があるためです。
その一方で、ほとんど発想力の要らない問題もしばし出題され、これを着実に解けることが合否の分かれ目になることも非常に多いと言えます。例えば、下記の東京大学の過去問などは一見定期テストなどで出題されてもおかしくない設定ですが、試験本番ではこの問題でも十分に差がついたことが予想されます。
以下のような典型パターンについても、複合的に出題される場合があるので自信がないものについては復習しておくのがよいでしょう。
□ 直線(ex. y = x)まわりの回転体の体積
□ 円柱の共通部分の体積(ex. x軸、y軸、z軸を中心としたそれぞれ半径1の円柱の共通部分の体積を計算できますか?)
尚、実際の入試で出題される問題としては、線分や円盤、球や円錐などの図形を一定の条件に従って動かした際の通過領域の体積を計算させる問題も多く出題されます。このようなパターンについては、標準レベルの問題集ではほとんどカバーされていないのでよりレベルの高い問題集にも手を出して、求積問題だけでも良いので繰り返し解いてみるのがおすすめです。
微積分/基礎の極意―大学への数学
突然ではありますが、次の不定積分の問題を解けますか?
・∫ (1 / sinx) dx
・∫ (1 / cosx) dx
・∫ (1 / tanx) dx
・∫ (1 / sinxcosx) dx
三問目だけ少々発想力を要しますが、その他は解けてほしい問題です。
もし少し手を動かして解法が思い浮かばなかった場合には、微積分の基礎が身についていないのかもしれません。
※心配になった人は、下記のページで不定積分の計算テクニックがとても丁寧にまとめられているのでブックマークしておくのがおすすめです
□ なかけんの数学ノート – 【応用】不定積分の置換積分(分母に三角関数)
この本は、このような「微積分の基礎」とでも呼べるような重要な典型パターンで抑えておくべきポイントを網羅した参考書・問題集です。
どちらかというとテクニック本的な要素が強く、煩雑な計算問題もあまり収録されていないので、受験勉強で問題演習を進めるなかで「なんとなくこの数式よく見るな」といった感覚ができてきた段階で知識を整理するために通読することをおすすめします。
大学受験数学の確率問題の対策方法とおすすめの参考書・問題集
整数問題と同様、設定次第ではいくらでも難しくできてしまうのが「確率」分野での出題です。
最難関大学での確率の問題と言えば確率漸化式がよく出題されることが有名ですが、下記の動画の問題のような一筋縄ではいかない「少しひねった問題」がしばし出題されることも事実です。
まずは場合の数を完璧に理解し、確率漸化式の頻出パターンを一通り習得した後は、ほどほどの難問に絞って初見で解けるかトライするような問題演習をひたすら繰り返すのが良いでしょう。解法暗記に頼らず、どんな出題内容も冷静に整理・計算できるようになることが目標です。
新数学スタンダード演習 2022年 04 月号 [雑誌]: 大学への数学 増刊
数学好きな高校生に長年に渡って親しまれてきた問題集で、分野別でたくさんの演習問題が掲載されています。
難易度としては、入試標準レベルのものがほとんどで、最難関大学を目指すのであれば半分以上の問題は初見で解けるようにしておくべきです。
ほとんどの受験生が解けないような「超難問」の掲載はなく、オーソドックスな問題ばかりなので、場合の数・確率の問題で間違えたものについてはしっかりと印をつけておいて後日解きなおしてみるのがよいでしょう。
新数学演習 2022年 09 月号 [雑誌]: 大学への数学 増刊
新数学スタンダード演習のワンランク上の問題集です。東大・京大の理系学部や旧帝大医学部を目指す人向けの本とされています。
収録されている問題の難易度としては、試験場で合否を分けた「やや難」レベルの問題が中心となっています。
中高一貫の進学校を除いてほとんどの現役生はここまで手が回らないかと思いますが、模試で既にA判定かB判定を取っていて、さらに数学の点数を伸ばしたい人は解いてみても良いと思います。
受験生の間では「オーバーワーク」というワードがしばし使われますが、現状維持は後退を意味します。是非、現状に甘んじることなくさらに学力を伸ばす努力をしてみてください。
この記事へのコメントはありません。